給与体系の変更
「給与の一部受取り時期」について従業員に選択権を付与
選択制確定拠出の導入に伴い、事業所の給与体系を変更することになります。従業員には、従来からの賃金受け取りの権利に加えて、新しく「給与の一部受取り時期」の選択権が付与されることになります。
新しい支給項目の設定
従業員様が、「給与の一部受取り時期」の選択権を行使して、確定拠出制度を利用するためには、「給与の一定額」(確定拠出の拠出限度額以内)について確定拠出掛金として毎月支払われる給与とは異なる区分となるよう(例:選択金、ライフプラン支援金等)を就業規則又は給与規程等に設けます。
なお、すべての確定拠出制度は、従業員に対して“不当な差別の取り扱い”をすることを禁じていますので、すべての従業員に支給されている給与項目からの給与体系の変更が好ましいと言えます。
給与体系変更の具体例
従業員に対して給与の受取り時期について選択の権利を与えるため、基本給の一部を「選択金」に給与体系を変更します。下図の場合、基本給15万円を選択制確定拠出の導入後は基本給を10.4万円に、選択金を5.1万円とします。(平成22年1月〜 他の企業年金制度を実施していない事業所の例)
給与規程における選択金支給目的の記載例
選択金は、従業員の老後の生活と福祉の向上を目的とした確定拠出掛金として各人に支給する。
残業代の取り扱いについて
選択制確定拠出の運営において、残業単価等の基礎給与の計算を行う規程については確定拠出制度の利用を選択した者と給与受け取りを選択した者とは、同等に扱うことをお勧めいたします。
従業員が確定拠出の利用を選択された場合、労働基準法では、残業単価の計算の基礎に含めなくとも良いこととなっていますが、同じ労働で、給与受け取りを選択した者と確定拠出の利用を選択した者とで、他の労働条件が異なることは理屈に合いません。
また企業側としても、従業員の皆さまが残業単価が変わることを理由に、確定拠出制度の利用を選択しなかった場合、本来、得られるべき社会保険料事業主負担分の軽減が得られないこととなり、企業全体で取り組んでいる選択制確定拠出によるメリットを減らしてしまうこととなるため、残業単価を同等に扱うことが望ましいといえます。
給与規程における時間外労働の手当に関する記載例
第○条(時間外手当)
通常の労働時間の賃金の額から労働基準法37条に定める除外賃金を控除した額に25%を乗じた額とする。
・第○条第○項第○号(選択金)により確定拠出年金事業主掛金とされた額は、前項に定める通常の労働時間の賃金の額とする。